らんたん・そさえて 上映企画vol.1
今ひとたびの水木洋子
情念と交差する、社会への眼差し
らんたん・そさえての記念すべき第1弾企画は『また逢う日まで』『ひめゆりの塔』『浮雲』『おとうと』などで知られ1950年代文芸映画の盛り上がりにも大きく寄与した脚本家・水木洋子(1919-2003)をフィーチャー!
「常に社会を眼差しながら情念に通じた脚本を書き、ときには製作段階にも深く関与した一映画人」としての水木洋子という切り口で彼女のキャリアをとらえ直します。
上映会では、豪華キャストの競演による傑作シニカルコメディ『喜劇 にっぽんのお婆あちゃん』(未ソフト化)と、同じ机で学ぶ昼間部と夜間部の少年がお互いに思いやりと敬意を持ち合う爽やかな名作『夜間中学』をセレクトしました。
この機会、ぜひお見逃しなく!
作品紹介
『喜劇 にっぽんのお婆あちゃん』1962(昭和37)年
シネマスコープ 白黒 上映尺:94分 35mm
製作会社:松竹、M.I.I.プロダクション 配給:松竹
監督;今井正 原作・脚本:水木洋子 撮影:中尾駿一郎 音楽:渡辺宙明
出演:ミヤコ蝶々、北林谷栄、飯田蝶子、浦辺粂子、東山千栄子、三木のり平、殿山泰司、五月女ケイ子、原泉、左卜全、十朱幸代、伴淳三郎、田村高廣、小沢昭一
東京は浅草、1964年の東京五輪前夜。レコード屋の軒先で意気投合した72歳のくみ(北林谷栄)と65歳のサト(ミヤコ蝶々)。街を彷徨いながらウィンドウショッピングや若者たちとの交流を楽しむくみとサトだが、実はふたりとも生きることに疲れ果てていて…。
笑いのなかに老後の幸せを問う傑作社会派喜劇。老け役の名手・北林谷栄と浪花随一のコメディエンヌことミヤコ蝶々をはじめ、豪華キャストによる競演も見どころ。
なお製作の「M.I.I.プロダクション」は、「水木洋子(脚本)=今井正(監督)=市川喜一(製作)」の頭文字をとって名付けたもの。
『夜間中学』1956(昭和31)年
シネマスコープ 白黒 上映尺:44分 DVD (提供:日本大学芸術学部)
製作:日大芸術学部・同校友会 配給:大映
監督:本多猪四郎 原作:余寧金之助(=瀬田貞二) 脚色:水木洋子 撮影:前田実 音楽:加藤光男
出演:吉岡興成、安藤武志、小暮実千代、宇野重吉、小林桂樹、高橋貞二、坊屋三郎、三木のり平
夜間中学に通う少年・鮮太(吉岡興成)は昼間同じ机を使う少年・良平(安藤武志)から置き手紙を受け取る。手紙のやりとりを重ねるうちに異なる境遇に育つ少年たちが互いに対するわだかまりや偏見を乗り越え成長する姿を、爽やかに描き出した名作。原作は『ナルニア国物語』などの翻訳でも知られ、自身も優れた児童文学者である瀬田貞二。木暮実千代、小林桂樹、宇野重吉を筆頭に、日本大学芸術学部(美学科/芸術学科)出身の出演者とスタッフが集結した。『ゴジラ』で知られる本多猪四郎が撮った数少ない教育映画の一つでもある。製作には『山びこ学校』の戸田金作が参加。
●上映会詳細●
らんたん・そさえて presents vol.1 上映企画
今ひとたびの水木洋子 情念と交差する、社会への眼差し
日時:2024年8月10日(土) 開場13:00/上映開始13:30
場所:アテネ・フランセ文化センター(東京都千代田区神田駿河台2-11 アテネ・フランセ4F)
上映作品:『喜劇 にっぽんのお婆あちゃん』(94分/今井正監督)+『夜間中学』(44分/本多猪四郎監督)
入場料金:1800円(一律・当日券のみ)
*当日は映画系zine「りんどう」第1号の発売もあわせて行います。*
主催:らんたん・そさえて
共催:アテネ・フランセ文化センター
協力:日本大学芸術学部、松竹株式会社、角川株式会社、市川市文学ミュージアム、国立映画アーカイブ
上映会についてのお問合せ先:lantern.societe@gmail.com